2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

二つ月の神話 一(9)

完全に日が暮れて、夜が来た。 雛鳥は空を飛ぶ大蛇にしがみつきながら、気が付けば分厚く黒い雲の中にいた。 そこには、雛鳥が乗る大蛇と同じ、神の風の化身である巨大な大蛇達が、無数に集結していた。 大蛇の群れは、ぐるぐると回って大きな輪をつくり、黒…

二つ月の神話 一(8)

雛鳥はふわふわとした気持ちでいたので、大祭の記憶はひどくぼやけていて、曖昧だった。 ただ、夕空の雲が、桃色、黄、橙、赤、紫、銀、金、青、紺、黒と、溢れる様に色とりどりにたなびいて美しかったことは、覚えている。 いつの間にか、雛鳥の乗る神輿は…