雛鳥が起きて洞窟の外に出ると、慣れ親しんだ曇る土地の風景は大きく変わっていた。
双翁山の二つあった山頂が、一つになっていたのだ。
見えない龍の小鳥が曇る土地の下から解放されたことで、激しい地震が起き、山の一つが崩れてしまったのだろう。
あれ程大きな山が崩れたのなら、山の側の集落はひとたまりもない。
雛鳥は、双翁山目指して歩いた。
双翁山に近づいていくと、人が煮炊きしているらしい煙がいくつも立ち昇っているのが見えた。
雛鳥が用心深く近づいて窺うと、それは渡りの民の人々だった。
「雛鳥!」
小波が目敏く雛鳥を見つけて呼び掛ける。
「小波!」
雛鳥はほっとして小波の下へ向かった。