二つ月の神話 三(13)

 雛鳥は洞窟の中を歩き続けた。

 どれくらい歩いただろう。一日か。それ以上か。

 やがて光が見えて、雛鳥は洞窟の外に出た。

 そこは名無し神の住まいの洞窟だった。

 洞窟に名無し神の姿はなかった。

 いつの間にか、雛鳥の背中の重みは消えていた。

 雛鳥は一人だった。

 雛鳥は、土の下に埋めて保存していた壺の中の木の実を取り出し、火をおこして煮炊きをし、一人で食事をとった。食べ終わると、そのまま眠った。