2024-02-27から1日間の記事一覧

二つ月の神話 二(6)

名無し神は、森をさ迷う名前を無くした神なのだと、囲いの集落の人々は噂していた。 無害ではあるけれど、時々人を惑わすから近づいてはいけない、と。 実際、一緒に暮らしてみて、名無し神は全く穏和だった。 まず、動物を殺さなかった。食べるものは木の実…