2024-03-07から1日間の記事一覧

二つ月の神話 二(14)

「雛鳥、ちょっと遠出しない?」 クス・シイが雛鳥にそう言ってきたのは、寒さがいくらか弱まり、雪が溶け始めた頃だった。 クス・シイは、コダマ、という名の龍の子にひらりと乗ると、未だに一人では龍の子に乗れない雛鳥に手を差し伸べた。「乗れよ」 常に…