2023-09-23から1日間の記事一覧

二つ月の神話 一(6)

祭りが終わり、日の落ちた頃合いに、長の使いが雛鳥の家を訪ねて来た。 焚き木の束を土産に持ってやって来たのは、雉(きぎ)という名の、雛鳥より四つ年上の長の息子の新妻で、雛鳥の母を長の家に呼びに来たのだという。 「あなたは囲炉に火を入れて、ここで…

二つ月の神話 一(5)

雛鳥の人生が、まるで渦に飲まれるように大きく巡り出したのは、雛鳥が生まれて十二度目に迎えた春の終わり。 それは、壺割り祭りの日のことだった。 壺割り祭りは、ひびが入ったり欠けたりして使われなくなった古い壺を、皆で割って埋葬するという、囲いの…