2024-03-18から1日間の記事一覧

二つ月の神話 三(4)

雛鳥は夢を見ていた。 夢の中で空を飛び、雛鳥は再びあの神の前にいた。「籠目も、あなたと同じ年の頃、よく夢の中で私に会いに来たわ」 神は言った。「籠目…」 雛鳥は、よく知る人の顔を思い浮かべた。「それは私の母の名よ」 神は頷いた。「あの嵐と洪水は…

二つ月の神話 三(3)

クス・シイは、曇る土地の中で最も影響力のある玉作りの集落の長、狢の前にいた。「お願いだ。雛鳥を解放して欲しい。大祭なんてもう何年も行われなかったのに、今さら女の子を生け贄にまでして何の意味があるんだ」 「雛鳥は曇る土地の仲間じゃないのか?」…