「凪を信じちゃいけない」
凪との話を終えて天幕から出てきた雛鳥に、クス・シイが言った。
そして雛鳥が言葉を返す前に、その場を去った。
後から出てきた小波が雛鳥に言った。
「どうしたんだい?」
「何でもないわ」
雛鳥は答えた。
それから雛鳥は、冬の間を渡りの民の人々と暮らすことになった。
「直ぐに返事をする必要はない。どのみち神と戦うにしても春になってからだろう?冬の間は我々と過ごすと良いよ」
凪がそう言ったので、その言葉に従ったのだ。
渡りの民はまもなく冬の野営地に移り、雛鳥は狩りや様々な雑用を手伝ったり、剣を習ったりして過ごした。