曇る森を抜けた西の土地には渡りの民と呼ばれる人々が暮らしている、と雛鳥は聞いたことがあった。
「渡りの民は、神々を恐れない」
曇る土地の人々は、そう言って渡りの民を嫌っていた。
しかしだとすれば、今の雛鳥にとって最も頼りにするべき人々なのではないだろうか。
どちらにせよ、今の雛鳥では神には勝てない。梟神を倒して神の下へとたどり着くことさえ出来ないのだ。
暑い日々が終わり、山の木々が色づき初めていた。
冬がやってくるまで、もう時間がない。
雛鳥は、曇る土地を出て西へ行って見ることにした。